今回の地震の被害で懸念されることの一つとして、福島第一原発の事故があります。

大学院で原子核工学を専攻して、原子力関係の仕事に従事している者としても、様々な面で考えさせられる部分があります。

今日も福島第一原発3号基でも爆発が起こったとの報道がありました。
どこのメディアも、1号基の爆発よりも大規模で、非常に深刻な状態だと報道していますが、原子炉格納容器は損傷を受けておらず、放射性物質が大量に放出される恐れは現時点では無いと考えています。

下の図を見てみるとわかるのですが、1号基、3号基の爆発で崩壊したと思われる部分が赤で囲った部分です。また、青で囲った部分が原子炉格納容器です。
原子炉格納容器small
 
今回の爆発で衝撃を受けたのは、いわゆるメンテナンスフロアと言われる部分で、原子炉設備の上方になります。構造の専門家ではないので断言はできませんが、このように見てみると、原子炉格納容器は損傷していないという説明にも納得がいきます。
基本的に、爆発現象は上方への衝撃が大きく、下方への衝撃はわずかになりますので、原子炉格納容器は今回の爆発でもそんなに衝撃を受けていないと思われます。


少なくとも、原子炉格納容器が破られていない以上は、チェルノブイリのような状況にはなり得ません。もちろん、技術に絶対というのはありませんので、完全に安心しているわけではありませんが、現時点で入手できる情報から判断してみると、そのような結論になると考えています。

原子力に対する知識が豊富でない一般市民に対して恐怖心を煽るような報道がなされていますが、技術的に冷静に判断すれば、非常にシビアな状況に違いはありませんが、すぐに福島県から脱出しなくてはとか、恐怖心を抱くような状況では無いと考えています。